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ナラーラ第九回総会

ナラーラ第九回総会が開かれました
「激動する世界のことを学びつつ、自分の頭で考え、ともに行動を」をモットーに


 ナラーラ(奈良県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会)の第九回総会が、9月17日(土)午後2時から、奈良市内で開かれました。定例の3月より半年遅れての開催です。
 総会は第一部と第二部に分けて、おこなわれました。

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 第一部では、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会事務局長の滝本英市氏が「アフリカ・アラブ諸国そして中南米、『急速に変化する世界』をどうみるか」という演題で記念講演を1時間20分にわたっておこないました。この講演会にはナラーラ会員以外の方も含めて31人が参加しました。
 第二部では、定期総会がおこなわれ、宮城恭子理事長のあいさつのあと、真下均事務局長が1年半のナラーラの活動報告と2011年度の活動方針について提案、会計報告、予算案と合わせて審議され、全員一致で 承認されました。また、新しい役員体制(別項)についても提案通り承認されました。
 閉会のあいさつで、ひきつづき選ばれた宮城恭子理事長は、「大きな視野で世界のこと、日本のことを学びながら、自分の頭でよく考え、地道に活動に取り組んでいこう」と呼びかけました。
 なお、総会には、奈良革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす奈良の会)から連帯のメッセージが寄せられました。

新役員  
  理事長     宮城 恭子
  事務局長    真下  均
  事務局次長   岡谷よし子  加藤 東洋
  理事      井上 清文  上村 啓子  尾崎 義美  北野 重一  蔵元 信子
         ☆鈴木 康司  中尾 一郎  西浦 宏親   山口 英治  山崎 直幸
  会計      上村 啓子
  会計監査    中村 篤子
              ☆は新たに選出、田は再任


世界の流れを大局的につかむために
国際・外交問題を見る視点をしっかりもとう

日本AALA事務局長の滝本英市氏が記念講演

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 第一部の記念講演で日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)連帯委員会事務局長の滝本英市氏が、「アフリカ・アラブ諸国そして中南米、『急速に変化する世界』をどうみるか」という演題で話をされ、参加者はその講演に熱心に耳を傾けました。
 講演のテーマは「今の世界をどう見るか、中南米からアラブ諸国の変革へ、そして原発問題が問われる世界の変化」というものでした。
 冒頭、滝本氏は、紀元1300年から現在までの年表を示しながら、「国際・外交を見るときの視点として、歴史的概念から現代を見ることがとても大事な点だ」と強調したうえで、20世紀に世界はどう大きく変化したかを、三つの大きな構造の変化を示してその特徴を明らかにしました。
 第一の構造変化は、1917年のロシア10月社会主義革命、第二の構造変化は、1960年の「アフリカの年」といわれる植民地体制の崩壊、第三の構造変化は、1991年のソ連の崩壊であり、以後21世紀に入り、世界的な体制変革の時代が始まったことをIMF(国際通貨基金)や世界銀行(国際復興開発銀行)を通じて発展途上国に押しつけられた新自由主義政策との戦いを通じて発展してきているラテンアメリカの変化や、今年のアラブの変革を示して、明らかにしました。

中南米諸国の変化について

 続いて滝本氏は、19世紀から21世紀にかけての中南米諸国の歴史について話をすすめました。
 中南米諸国は、1800年から1830年にかけて、次々とスペイン、ポルトガルからの独立を勝ち取っていきますが、そういうなかでアメリカ合衆国のモンロー大統領による1823年のモンロー宣言は、この地域をアメリカ合衆国の勢力圏と宣言し、以後、アメリカ合衆国の従属化に置かれます。
 それは第二次世界大戦後もつづき、1970年代以降は、ワシントン・コンセンサス(IMFや世界銀行の間で合意されたアメリカ合衆国流の対外債務対策)で、「小さな政府」「市場原理主義」「民営化」をラテンアメリカ諸国に押し付ける「新自由主義政策」がとられ、「失われた10年」「絶望の10年」といわれる状況を生み出します。
 こうした状況は、1998年12月にベネズエラにチャベス政権が誕生したことに始まり、自主的な政権がこの12年間に次々と誕生することによって打ち破られていきます。滝本氏は、中南米諸国に流れる変革のキーワードは「新自由主義政策」と、それを押しつけるアメリカ合衆国からの自立だと強調しました。
 そして今日、「中南米のことは中南米で決める」と、アメリカ合衆国からの事実上の独立をかかげる「中南米カリブ海共同体」(33カ国)の結成が2010年に確認され、2011年12月に、それが動き出すことになったことを明らかにしました。
 あわせて、中南米諸国のこの10年間の成果として、契約社員の制限、最低賃金の引き上げ、社会保障制度の回復、貧困層への生活扶助、女性の権利と地位の向上、雇用の拡大を挙げました。

アラブ諸国での自由と民主主義、民主化を求めるたたかい

 滝本氏は、つづいて、北アフリカ・中東のアラブ諸国で、いま起きている自由と民主主義、民主化を求めるたたかいの特長について話をすすめました。
 第二次大戦後、北アフリカではリビア、スーダン、モロッコ、チュニジアなどで次々と独立あるいは王政の打倒がおこなわれ、反帝国主義・反植民地主義を掲げた国が誕生、これに励まされてサハラ以南のアフリカ諸国やアラビア半島のいくつかの国が独立します。そして1960年には一気に17の国が独立を勝ち取り、いわゆる「アフリカの年」と呼ばれる植民地体制の崩壊が起こります。その大きな力になったのが1955年のバンドン会議における平和・民族自決権の尊重をうたったバンドン10原則(注)です。

(注)バンドン10原則(バンドン精神)
1. 基本的人権と国連憲章の趣旨と原則を尊重する。
2. 全ての国の主権と領土保全を尊重する。
3. 全ての人類の平等と大小全ての国の平等を承認する。
4. 他国の内政に干渉しない。
5. 国連憲章による単独または集団的な自国防衛権を尊重する。
6. 集団的防衛を大国の特定の利益のために利用しない。また、いかなる国も他国に圧力を加えない。
7. 侵略または侵略の脅威・武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を侵さない。
8. 国際紛争は平和的手段によって解決する。
9. 相互の利益と協力を促進する。
10. 正義と国際義務を尊重する。

 しかし、反帝国主義、民主主義をかかげて政権を奪取した指導者たち(若手将校)は、その後、国内的には強権支配に頼り、さらに長期政権に固執し、西側列強はアラブ支配者の保護を支える見返りに、エネルギー資源開発の自由を手に入れることになりました。
 この長期の強権支配は、国づくり、改革、民主化を停滞させ、国民は無権利状態になり、そこへ新自由主義政策が持ち込まれてきました。富は権力者に集約され、支配層は腐敗し、食糧物価は高騰、高失業率がつづき、貧富の格差が広がり、貧困が急増していきます。
 この長期政権による強権政治に対して、人民による政治改革の要求と運動が2011年になって始まりました。最初は、チュニジアの「ジャスミン革命」と呼ばれるたたかいで、ベンアリ政権を打倒しました。続いてエジプトではムバラク大統領を追放し、「誇り高いエジプト人としての尊厳を取り戻した革命」が成功 しました。
 この政治改革と強権政治打倒をめざす民主化運動=「アラブの春」革命は、燎原の火のように、オマーン、イエメン、ヨルダン、モロッコ、アルジェリア、クウエート、バーレーン、リビア、シリアに飛び火し、アラブ諸国全体を覆い始めています。この革命は、アラブ、アフリカ全体の民主化を推し進めていくという大きな歴史的意義を持っていると、滝本氏は強調しました。

今の世界の流れを大局的にどう見るか

 滝本氏は、中南米やアフリカ・中東諸国の運動を見て、世界の構造変化という点から3つの特長を挙げられました。
 第一は、「国民が政治を動かした」事件であり、「序列のない国際社会」から、「格差のない市民社会」に焦点が向かいつつあること。
 第二は、非民主的な政治運営の否定であること。それは、普遍的価値を示す「自由と民主主義」を取り戻すたたかいであること。
 第三は、新自由主義路線の破たんであること。世界各地で起きている変革の動きは、新自由主義政策とグローバル化を押しつけることによって巨大な利益と権益を維持し続けようとし、そのために軍事力も辞さないという勢力に対して、これに反発・反撃する勢力の反戦平和、環境・温暖化問題の解決、公正・民主の国際経済化をめざすたたかいであること。

最後に、地球と人類が直面する課題

 講演の最後に滝本氏は、地球温暖化問題、原発・核兵器問題を取り上げました。時間の関係で、詳細には触れませんでしたが、フィンランド映画「10万年後の安全」を紹介した後、原発と核兵器は悪の双生児だということ、人類と地球を守り、人間らしく生きていく「平和的生存権」に敵対しているのが放射能だということを強調されました。
 そして、「世界が大きく変わってきていることに、いま我々は確信が持てます。しかし日本は、自民党政治に戻ったような政策を掲げる新内閣となりました。米国と財界に向いた政策でひどいものです。これとたたかっていかなければなりません。そのためにも、世界を知って日本を変えようではありませんか」とのべて講演を結ばれました。
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by naraala | 2011-10-03 21:46