ナラ―ラの第七回総会で
石川康宏・神戸女学院大学教授が講演 ――たいへん良い勉強になりました―― 3月14日(土)午後2時から、奈良県アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(ナラーラ・NARAALA)の第7回定期総会が、奈良市南京終町の「さくら診療所」で開かれました。 第1部では、石川康宏・神戸女学院大学教授が、「金融危機・オバマ政権以後の世界と日本」と題して、世界と日本の動きを、政治、社会の問題も含めて、経済を語るという形で講演されました。講演の柱と流れは、つぎのとおりです。 ・金融危機と世界同時不況の一体化。 ・非正規切りとの闘い。 ・「大企業がうるおえば」という「構造改革」路線の行き詰まり。財政赤字の拡大も。 ・世界構造の大きな変化の中で。 ・日本経済の転換の方向。 ・「憲法守れ」の世論の変化に自信を持って。 ・壊れ始めた自民党、政治改革の大チャンス。 ・労働・市民団体に期待すること。 ・[補足]「慰安婦」問題での学び。 石川先生は、レジメをスライドで示しながら講演をされました。 (レジメの内容は、コンピュータにパワー・ポイントをいれておられるかたは、ナラーラのブログの添付書類「090302・金融危機・オバマ政権以後の世界と日本」を開いて、ご覧になれます。) 「G20」に主導権が移りつつある 「今回の金融危機とはどういうものか」ということから話を始められた石川先生は、この金融危機に「世界はどう対応しようとしているか」に話をすすめられ、「『儲けの自由』を主張するアメリカ型カジノ資本主義」に対する批判と規制の要求が強まっていることを、EU(ヨーロッパ連合)やBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の動きを含めて明らかにされました。 EU27カ国は、金融システム維持と預金者保護で連携を強化し、「ルールある経済」をすすめ、個人消費をあたためる政策をとり、イギリスのように「消費財減税」を打ち出しているところもあること。そうして、これまでの「G8」ではなく、BRICsをはじめとした新興国や産油国もふくんだ「G20」に主導権が移りつつあることを示されました。そのなかで、オバマ政権は、1975年以後の「金融自由化」を軸とした「新自由主義」の深刻な行き詰まりを認め、経済政策の転換をうちだそうとしています。 ところが、日本の財界・大企業は、目先の利益だけを考えて、非正規労働者の首切りに走るなど、無責任、非人間的な道を進み、内需を破壊し、日本経済を破壊してしまうことをやっていることを示し、それは、まさに「うろたえている」と言っていい状態であることを明らかにしました。 労働者、国民がたちあがりつつある これに対して、「年越し派遣村」の闘いのなかで、「生き抜くぞ」「生きさせろ」という切実なスローガンが叫ばれるようになり、それが、厚労省に「非正規切り防止通達」を出させ、生活保護集団申請を認めさせるなどの成果をかちとったことなどを示し、まさに、労働者、国民がたちあがりつつあること、そしてこの闘いが日本中に広がることを恐れた政府や財界・大企業を追い詰めていることになっていることに、みんなが確信をもち、「政治を動かすことができるのだ」ということに自信をもって立ち向かうことが大事だと強調されました。 この話のなかで、石川先生は、「You Tube」の話をされ、「非正規雇用」で検索をかけるとかなりの動画がみられ、それが若者たちに携帯などで見られていることを紹介されました。でている動画のなかには、日本共産党の国会議員の質問もかなりとりあげられています。このサイトに、もっともっと動画などをアップロードしていくことが、世論を高めるうえでも大事なのだということを紹介されました。URLはつぎのとおりです。アクセスしてみてください。 http://www.youtube.com/ さらに、石川先生は、日本の政治について話をすすめ、財界・大企業の団体である日本経団連が、自民党や民主党など日本の政党を買収し、大企業本位の政治を推進させてきていることを「2008年度・日本経団連総会決議」の内容を取り上げて、説明されました。さらに、2009年度の優先政策事項の10項目を紹介し、第10項目には「戦略的な外交・安全保障の推進と憲法改正に向けた合意形成」を挙げていることも示されました。ところが、世論調査の結果は、改憲を主張している『読売新聞』の調査でも「改憲」は少数派になってきていることから、改憲勢力はあせってきている。この状況をつくりだしたのは、全国で7,000を超す組織をつくった「九条の会」の護憲運動だということを明らかにし、この運動をさらに強化していくことの重要性を強調されました。 社会改革の運動を目にみえるものに 最後に石川先生は、「2009年は政治改革の歴史的チャンス」と強調、日本国憲法をほんとうに実行させる政治をつくっていこうとよびかけ、そのためにも、憲法のこと、平和のこと、くらしを守ることなどを、自分の言葉で語ることができるように、しっかり勉強し、身につけようと訴えられました。「小学校の子どもたちでも一日6時間も学んでいる。私たち大人が、子供たちに立派な社会・政治を残してやるためにも、自分自身の知的成長に責任を持ち、学びの計画をたてて実行しようではありませんか。そのために『まず、5冊の本を積み上げましょう』『それは、勉強しようという決意の表れです』『全部を読む必要はありません。自分が必要だと思うところをしっかり読み、自分のものにすることです』」と懇切な指摘までされて講演を結ばれました。 この、講演会には、会員以外のかたもふくめて、21人が参加しました。
by naraala
| 2009-03-21 22:07
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