イシカワ・セイコウ駐日ベネズエラ・ボリバル共和国特命全権大使の講演会 会員以外の方々も多く参加され84人の出席で成功 奈良アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(ナラーラ)は、11月3日(土)午後6時半から、奈良県立文化会館小ホールで「南米・ベネズエラ駐日大使が語ります『今、めざしているものは……』ベネズエラ憲法草案について」と題した講演会をひらき、若い参加者も目立ち、女性の参加者が多いなど、多数の会員以外の方々もふくめて84人が参加しました。 イシカワ大使は、同国ボリバル市で生まれた34歳で、お父さんは沖縄県の出身、お母さんは山梨県の出身という日系2世の駐日大使のなかでは最も若い方です。この講演会には、大使とともに、同大使館の自席代表で公使参事官のホセ・ブリセーニョ氏、通訳として大使と同い年で女性の片山友紀さんが出席されました。 生き生きと語られた「民主的で国民参加型の多元主義国家づくり」 イシカワ大使は、その講演で、「民主的で国民参加型の多元主義国家づくり」「人間中心の経済・社会システムの構築」にとりくんでいるベネズエラの政治の特徴を語りました。そして、躍動感に満ちた同国国民の国民性を語り、その国民の創造力、変革力をいっそう発揮できるようにするために、1999年に制定された現行憲法を発展させた憲法改正を国民参加の討論のもとで進めようとしていることを熱く語りました。 1998年の大統領選挙で、従来の二大政党によってすくいあげられることのなかった低所得大衆の支持を得て、ウゴ・チャベス大統領が誕生しました。同大統領は、二大政党制下の汚職や司法の腐敗を厳しく糾弾し、憲法制定議会を開催し、1999年に、新憲法を成立させたのです。この「ベネズエラ・ボリバル共和国憲法」は、その統治の仕組みとして、直接民主制的な手段を多くとりいれた、国民参加とそのイニシアチブの発揮を促進するものでした。この憲法のもとすすめられた改革のなかで、国民の非識字率を2年間で急速に高め、2005年には0%にしたことが、ボリバル主義を発揮させるうえで、大きな力となったことをイシカワ大使は強調しました。そして、今回の憲法改正は、この国民の直接参加型の民主制度をいっそう発展させるもの だと説明されました。 質問にも、ひとつひとつ誠実に、丁寧に答える この後、参加者から質問がだされ、イシカワ大使はその質問にひとつひとつ「ご質問あちがとうございます」と冒頭にのべながら、丁寧に答えられ、通訳をまじえての約45分の時間はあっという間に過ぎていきました。 中南米の変化、教育問題でも 中南米の変革の流れについては、「ラテンアメリカでは人間に重点を置いた社会的・経済的側面での共同が進んでいますが、これは『自然な発展方向』と言えるでしょう」と答えられました。学生からは「日本では学費値上げ反対の運動にとりくんでいますが、ベネズエラではどうですか」という質問には「この講演会に若い人の参加が目立つことは非常に嬉しいことです」と前置きした後、「チャベス大統領のもと、ベネズエラ政府は、教育をふくむ社会政策を重視してきました。現憲法でも『教育の無償、国の支援』がさだめられています。チャベス大統領は、その第一期で国民全員が教育を受けられるようにする教育プログラムを作成、推進してきました。国の生産基盤をひろげていくためにも、教育は重視されています。労働者でも、労働時間のうちの数 時間を高等学校で勉強できる時間に当てることができるようにするなどの措置もとられるようになっています」と現状を説明されました。 言論の自由やアメリカとの関係でも 日本のマスコミで、「チャベス大統領はテレビ局を閉鎖した」と言論抑圧をしているかのような報道をされている問題についての質問には、「日本で捉え方はちがうようだ」と述べた後、当該のテレビ局については放送権の期限が来たのを延長しなかっただけだ。その理由は、その放送権について、コミュニティが自らその内容をつくるラジオ局など、よりよい使途があると考えてそちらに許可を与えたものです」と説明しました。 米国との関係についての質問には、「国連などの国際機関では、均衡のとれた政策が必要です。チャベス大統領の国連演説も、『政治的、経済的な国際的バランスが大事だ』といくことを述べたものです。たしかにアメリカ政府とは対立があります。しかし両国の国民同士の関係は良好です。貿易は石油だけでなく、むしろその他の部門で伸びています。また、アメリカの貧しい人たちに向けて灯油を低価格で提供することもベネズエラはやっています」と答えられました。 いちじるしい女性の社会進出 女性の社会進出について尋ねられたイシカワ大使は「女性は政府、民間を問わずすべてのセクターで進出が進んでいます。国会議長も女性ですし、憲法改正案を国会の審議をへて受け取る側の選挙管理委員会のトップも女性です。1999年の改正憲法で女性の社会進出は保障されるようになりました」と同国の現状を説明されました。 また、「野球が好きですか」と問われたイシカワ大使は、ベネズエラが野球の盛んな国の一つであることを紹介、「ベネズエラ・リーグもあり、またカリブ・リーグもありますが、カリブ・リーグではベネズエラが昨年は優勝しました」と述べ、MLBにも1000人以上のベネズエラ人が加わっている」と説明しました。その他、バスケットボールやバレーボール、それにボーリングも盛んで、「世界ボーリング選手権大会」がベネズエラで開催されたことも紹介しました。さらに、空手、柔道、剣道も盛んですと付け足されました。 私たちが初めて知ったことですが、ベネズエラはカカオの産出国で有名ですが、その輸出先の第一位が日本だということも明らかにされました。 報告 西浦宏視 イシカワ大使からの感謝状
by naraala
| 2007-12-31 17:38
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